喪中とは
今年も残すところわずかとなりました。毎年、年末になると「年賀状の欠礼ハガキ」をいただくことがあります。そこに記されている「喪中」とはどういうことなのでしょうか。
喪中とは一般的に故人が亡くなってから1年間、1周忌法要が終わるまでの期間を指します。喪中を過ごすのは基本的に故人から見て2親等と考えられています。喪中の間はおめでたいことや派手な行動は避ける傾向があるため、お正月のお祝いもしない傾向があると思われます。
そしてよくご質問をいただくのがタイトルにある通り「初詣は避けるべきですよね?」というものです。これにはもう一つ「忌中」という期間が関係してきますので、まずはそちらをご説明いたします。
忌中とは
忌中とは喪中の期間よりさらに亡くなった日に近い期間になります。こちらに関しては仏教と神道で若干異なり、さらに言えば仏教でも浄土真宗は他の仏教や神道とは一線を画しています。
仏教の忌中
仏教における忌中とは故人が亡くなってから四十九日の法要を終える期間までのことを指しています。亡くなった日を一日目と数えます。故人は生前の行いについて裁きを受けます。最後の裁きによって極楽浄土に行けるかどうかの判断がなされます。この日が四十九日なのです。ただし浄土真宗に関しては異なりますので、下記をご覧ください。
浄土真宗の忌中
信興寺が属している真宗大谷派は浄土真宗の一派です。浄土真宗は鎌倉時代に親鸞によって開かれた宗派です。
実は浄土真宗には忌中の概念そのものがありません。浄土真宗は阿弥陀如来の本願力によって全ての人が必ず極楽浄土へ往生できます。浄土真宗の門徒が「南無阿弥陀仏」とお念仏を申しているのは、ただ念仏のみぞ申せば浄土に往生できるからなのです。信心が定まった時、阿弥陀如来の力によってすぐに仏となるため、死後の忌中という考えはなく中陰と呼び、あくまでも個人を偲び、阿弥陀如来の心に触れ、仏恩報謝の念を深める仏事です。追善供養ではなく、故人の往生を縁として仏法に出遇い、故人もまた遺された側も阿弥陀如来に等しく救いとられている恩徳に報謝する思いで法要が行われます。そして四十九日目(命日から四十八日後)に「満中陰」法要を行います。
神道の忌中
神道における忌中は四十九日法要にあたる五十日祭を終えるまでの期間のことを指しています。亡くなった日を0日目として数えます。神道は祖先を崇拝する信仰が基になっており、死は穢れたものとして考えられます。そのため五十日祭までは近親者の死という穢れを外に広めないよう、外部との接触を避け身を鎮めるようにと言われています。
忌中と喪中の違い
忌中はご命日から四十九日、もしくは五十日を経過するまでの期間、喪中はご命日から1年間が経過するまでの期間を指します。喪中期間中の最初の期間が忌中ということですね。
同じような意味合いで使われることが多いため混乱しがちですが、喪中の方が忌中よりも死の穢れは薄まっていると考えられています。
初詣について
では本題に移ります。いわゆる初詣はどうしたらよいのでしょうか。こちらも忌中と喪中、どちらの期間なのかによって変わります。
忌中期間中
神社への初詣
神社へのお参りは避けましょう。上でも述べたように、神道は「死は穢れたもの」として考えます。そのため神様をお祀りしている神聖な場所である神社への参拝は、控えるのが良いとされています。
親族を亡くし「気が枯れる」状態は、「気枯れ」=「穢れ」であるとされます。そのためこの「気枯れ」を神聖な場である神社に持ち込まないようにするという考えもあるそうです。
また「忌中に鳥居をくぐってはならない」が転じて、「鳥居の横を通り過ぎれば神社に行ってもいい」というのは間違いであって、忌中期間中は神社への参拝は控えましょう。
寺への初詣
お寺へのお参りはいつでも問題なくお参りができます。鎌倉時代まで仏教も死を穢れと捉えていた時代もあるそうですが、現在、仏教では死を穢れの対象とは捉えていないため忌中であってもお寺への参拝は問題ありません。
喪中期間中
神社では忌中期間中の参拝は控えるのが普通とされていますが、五十日祭(四十九日法要)が終わっていれば初詣に行っても問題ないとされています。こちらはリンクから神社本庁のHPをご覧ください。
https://www.jinjahoncho.or.jp/omairi/bukki/
またその他、慶事に関しても取り決め等があります。大変わかりやすくまとめてくださっている神社がございますので以下のリンクをご覧ください。
https://www.santai-jinja.jp/blog/hatsumode-mochu/
真宗門徒の初詣
最初の方で書いた通り、浄土真宗には忌中がありません。そのため真宗門徒は慶事を慎む必要もありません。ですから忌中期間であっても神社へお参りすることも本来は可能です。しかしながら世の倣いなどによって避けるのが良いのかもしれません。
しかし本来であれば、どのような形であれ新年にはご自宅のお仏壇(お内仏)に手を合わせお勤めをし、お手次寺の新年の法要(修正会)に足を運び、阿弥陀如来の前でお念仏を称え、改めて聞法に励むことを皆で確かめ合うことが願われます。
新しい年の最初はぜひともお手次のお寺の修正会へ足をお運びください。当山・信興寺では以下の通り法要を勤めます。ご近所のお寺様の日程についてはお手次のお寺様へご確認ください。
信興寺 修正会
令和7(2025)年1月1日(水・元日)
午前10時より30分程度
正信偈・草四句目下
念仏・和讃(三淘)
弥陀成仏のこのかたは 次第六首
回向 願以此功徳
御文 五帖一通 末代無智
法話
の予定です。次第は変更になる場合がございます。
皆様のご参拝をお待ち申し上げております。